フリーライターAさんの裁判を支援する会

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証人尋問傍聴記(第1回)被告から「ビジネスパートナーになってほしい」と言われ

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 2021年11月17日、10回目の裁判期日を迎えたこの日、原告と被告の尋問が行われた。傍聴席は26席であったが、出版ネッツ出版労連等から46人が集まり、入れ替えて傍聴した。
 私(松本浩美)は、初めてAさんの裁判を傍聴した。証言の最中は一言も聞き漏らすまいと、メモを取るのに夢中であったが、翌日メモに目を通すと、みみずがのたくったような字で書いた一言一言が胸に迫ってきて、通常の神経ではいられなくなってしまった。

 わずか7か月の間に何が起こったのか。Aさんの主尋問での証言をもとに概略を描いたものを、これから10回にわたって連載する。なお、発言はあくまでも私の手書きによるメモであり、裁判記録ではない。趣旨はくみ取ったつもりだが、一言一句正確ではないことをお断りしておく。

■原告Aさん
 13時30分、尋問開始。担当は長谷川悠美弁護士だ。被告との出会いからをAさんに尋ねる。Aさんはかぼそい声ながら、しっかりとした口調で答えていく。

〇被告から「ビジネスパートナーになってほしい」と言われる
 きっかけは、2019年3月9日、被告がAさんに記事の執筆を依頼するメールを送ったことだった。当時Aさんはフリーライターとして自身のホームページを開設していた。被告のサロンで施術を受けて、体験談をAさんのホームページに掲載してほしいという依頼内容だった。メールには仕事として受けてほしいこと、原稿料はいくらかと書かれていた。
 同月20日、被告のサロンで初めて会う。このとき被告はAさんに「ビジネスパートナーになってほしい」と言った。また、Aさんが他社のエステサロンで体験したことがあると伝えると、「比較記事にしてほしい」とも言った。
 その一方で被告は、Aさんに性体験について尋ねてきた。理由を問うと、「エステのカウンセリングでは客とこういう話もする」、さらに「男性エステティシャンは女性の体に触れるので、いろんなことに気を遣っている」と答えた。
 そして、1回目の施術。このとき被告から、「バストを見せてほしい」と言われた。理由はAさんが施術中にくすぐったいと感じて抵抗しているようなので、「一度裸になると受けやすくなる」からだという(思い切って裸になれば開放的な気分になる、という意味か?)。しかし、Aさんは断った。
 2回目の施術のとき、被告から施術前後の比較写真を撮ろうと提案され、下着をずらすように指示された。Aさんは涙声で証言する。
 「今となっては、エステ写真なのに(下着をずらして撮影するなんて)おかしいと思います。でも、当時は信用していたので応じてしまいました」。
 なお、写真撮影は施術による体形変化を示すことが目的なのに、体重等は計測していない。肝心のエステ内容の説明書も渡されず、施術後の写真も撮影されなかった。

 体験記事を送ると、被告からLINEでAさんの仕事を高く評価するメッセージが多数送られてきた。「読みやすい」「文章表現がわかりやすい」「この仕事向いてますね」「能力高いですね。20代半ばとは思えない」などなど。Aさんがホームページに体験記事をアップすると、被告からは「(記事を)活用させていただきます!」とのメッセージが届いた。
 4月28日に被告から、サロンの公式サイトに掲載する記事の制作を専任でやってほしいというメッセージが送られてきた。
 Aさんは被告の役に立ってうれしいと感じた。しかし、その一方で被告は肝心の報酬の話をしてこなかったため、不安になった。Aさんは報酬について確認するため、被告に「減額しても問題ない」とメッセージを送ったが、被告からの反応はなかった。

松本浩美(出版ネッツ

 

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