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証人尋問傍聴記(第3回)1日8〜12時間ほぼ毎日記事を書く〜口座開設を指示され交通費1万円を渡される

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 2021年11月17日、10回目の裁判期日を迎えたこの日、原告と被告の尋問が行われた。わずか7か月の間に何が起こったのか。Aさんと被告の証言をもとに、ライターの松本浩美さんが概略を描いた。

 

〇1日8〜12時間、ほぼ毎日記事を書く
 8月1日から仕事を開始。以後、被告との契約終了となる10月21日まで続けた。9月30日までは、コラム記事(2000〜5000字)をほぼ毎日執筆して、サイト上で公開。10月からは、被告からコラム記事は2日に1度に減らして美容に関するニュース記事(1000字程度)を毎日書くように指示された。サロンのリピーターを増やしたいという理由だった。
 他にもAさんは、エステの施術中のモデルを務めるほか、SNSでの運用なども行った。被告が用いている施術器具導入店の一覧表もつくった。様々な業務に費やした時間は1日8〜12時間であった。

 

〇責めた後に慰めるふりをしてセクハラ
 ちょうど試用期間が過ぎる8月末頃から、被告はAさんに「こんな記事では報酬を支払えない」「こんな質の低い仕事をするとは思わなかった」などと言って支払いを拒否した。ただし、記事のどこに問題があるのか、具体的な指摘はなかった。
 また、被告はAさんに対して「知識がない」「質問もしてこない」などとなじった。AさんはLINEで積極的に質問していたのに、そのように言われたのだ。さらに、「ほかの仕事をしているから、こんな仕事もできないんだね」などと咎めた。
 このようにして、Aさんはたびたび被告から呼ばれて、パワハラも受け続けた。1時間くらい責められ、たまりかねて泣き出したこともあった。すると、被告は慰めるような態度を示しながら、セクハラを行おうとした。
 その一方でAさんが、今後どのようにキャリアを積んでいけばいいか、被告はAさんから話を聞き出して、アドバイスめいたこともした。具体的には「ビジョン」と称して、Aさんに将来の夢、取得したい資格などをいくつか挙げさせ、優先順位をつけさせた。そして、当時被告が在籍していた美容関係の大学院に、会社の経費でAさんも入学すればいい、などと提案した。

 

〇口座開設を指示され、交通費として1万円を渡される
 被告はAさんが報酬の話を出すと、不機嫌になった。しかし、Aさんは被告に対して何も要求しなかったわけではない。9月4日にAさんが報酬の話をしたら、被告は「経理と相談する」と言った。
 なお、9月30日に被告は突然Aさんを呼び出して、銀行口座を2つつくるように指示した。そして、交通費として1万円を渡し、PASMOにチャージするように言った。しかし、10月に入っても報酬は支払われなかった。

松本浩美(出版ネッツ

 

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