フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツ(http://union-nets.org/)のメンバーが運営しています。

フリーライターAさんの裁判を一緒に支えてください!

「Aさんの裁判を支援する会」入会・カンパ ご案内
 

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裁判を進めるにあたって、弁護士費用や交通費、諸経費、広報活動に係る費用などが必要です。

「Aさんの裁判を支援する会」会員のほか、カンパを募っております。
皆様からのご支援・ご参加をよろしくお願い申し上げます。
 
●会費:個人会員・団体会員ともに1口当たり月額300円
 ※できましたら半年単位、もしくは1年単位での申し込み・振り込みをお願いします。
 ※団体会員は複数口での申し込み・振り込みをお願いします。
●振り込み先:中央労働金庫本店営業部
 シュッパンロウレンタイサクカイギ 普通 167538
 ※ネットバンクからお振込みの際、7ケタの口座番号の記入を求められることがあります。
  その場合は、頭に「0」をつけて「0167538」と入力してください。
 
お振り込みいただきましたら、以下の内容をメールまたはFAXにてお知らせください。
 Fax: 03-3816-2980
 
●会費かカンパかの別 (個人会員または団体会員・カンパ)
●会費の場合は、金額と内容(今回振り込み金額 ○○円/○口×月数/○年○月~○月分)
 カンパの場合は、金額(今回振り込み金額 ○○円)
●氏名または団体名
●氏名または団体名のふりがな
●所属・勤務先
●郵便番号
●住所
●電話番号
●メールアドレス
●当会をどこでお知りになりましたか?
●ご意見ご要望がありましたら、お知らせください。
 
 ※領収書が必要な方は、その旨ご記入ください。
※ご記入いただいた個人情報は、入会手続きならびに活動のご案内にのみ使用いたします。
 
 

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(事務局)

 

事件の概要はこちら

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第7回口頭弁論を傍聴して

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 7月14日、フリーライターAさんの第7回口頭弁論が開かれ、24名の方が傍聴に来てくれました。

 実は、法廷に入るのは初めてです。女性裁判長、女性陪席裁判官(もう一人は男性)、そして女性司法研修生と、しかも若い方々なので、思わず「韓国ドラマ『リーガル・ハイ』みたい」と感心してしまいました。

 裁判長から、原告側・被告側双方に反論主張はほぼつきていることの確認が行われ、次回もう一度弁論を入れ、次々回(10月か11月)には証人尋問へと進むことになりました。裁判長は証人についても質問。こちら側は、原告本人と、最初からAさんに寄りそってきた出版ネッツ組合員を予定、被告側は、被告本人と、Aさんと面識のある女性も検討中と答えました。

 そして、誰を尋問するかという証人申請と、証人の陳述書を、9月15日までに準備することになりました。

 今回も、支援者は法廷には入りきらず、多勢が待機しました。次々回の証人尋問のときには、30人入れるほどの広い法廷を用意してほしいと要請しました。

 なお、被告が組合を敵視するようなブログを、この間ずっと書いていましたが、7月13日、突然すべて削除されたとの報告が、裁判終了後にありました。見るに耐えないものが消え去って、少しホッとしました。

 証人尋問のときには被告も出廷しますから、Aさんは不安なことと思います。遮蔽板を置くなどの配慮はしてもらえるそうですが、Aさんを励ますためにも、皆さん、傍聴に来てくださるようお願いいたします。

若藤えい子(支援する会世話人

 

 

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オンライン勉強会 変えたい!セクハラ・パワハラを生み出すわたしたちの社会

 

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 2021年6月16日、フリーライターAさんの裁判を支援する会と出版労連出版ネッツの主催のオンライン勉強会「セクハラ・パワハラ裁判と被害者心理」が開かれました。Aさんの裁判の弁護士のお2人と、ライター、ハラスメント実態調査に取り組んだ団体メンバー、支援者が話をされ、130名が視聴しました。報告と感想を記します。

 

はじめに裁判の担当弁護士・長谷川悠美さんから裁判の概要、ついで弁護士の青龍美和子さんからセクハラ・パワハラ事件についての話がありました。地位・関係性を利用した性暴力発生のプロセスと、抵抗できない被害者心理の背景、ジェンダーギャップ指数が世界153か国中120位(2021年)という男尊女卑社会の日本で、そうした被害者心理が理解されにくい事情について説明されました。その後、フリーライターの小川たまかさんから「地位関係性の中で起こる性暴力」について、表現の現場調査団の田村かのこさんと木村奈緒さんからはハラスメント実態調査の概要(*)と事例紹介、そしてPraise the braveの八幡真弓さんから、「支援者から当事者となり見えてきたこと」という話題提供がありました。

 

表現の現場調査団の実態調査ではAさんの裁判に関連する事例が紹介され、アートや演劇、映画、音楽、文芸、アニメやゲームの業界ではフリーランスとして働く人が多く、法的保護が弱いために被害が放置されている現状が浮かび上がりました。八幡さんのお話からは、パワハラ・セクハラ被害後の回復の過程とは浮き沈みの大きい、一直線に進むようなものではないことが伝わってきました。そして、支援者側が陥りがちな思い込みや、当事者のどのような選択も尊重することの重要性を指摘されました。

 

今回、改めて感じたことは、わたしたちの社会に性暴力容認文化ともいうべきものが蔓延しているということです。被害を受けた側が立証しなければならない司法のあり方、仕事を得るには多少の「〜ハラ」は乗り越えて当然という「常識」、自分に落ち度があるのではと思ってしまう自責の念……。変えたいことばかりです。先日も立憲民主党の刑法改正ワーキングチームの会合で「50歳近くの私と14歳が同意の性交をして捕まるのはおかしい」というトンデモ発言をした政治家が批判を受け撤回・謝罪するという出来事がありましたが、“年齢差や立場を超えた純愛”というファンタジーが誰の側からのものであるかをよくよく考えてみる必要があると感じました。対等な関係や同意についても学びたいです。

 

勉強会の最後は、原告Aさんのあいさつでした。Aさんは、被害を受けた当初の心境、出版ネッツに相談・加入し、支援者や弁護士との関わりの中で意識が変わったこと、社会への怒りや失望、新しい仕事で出会う方たちの姿に触れて生じた前向きな思いを率直に話されました。Aさんの勇気と真摯さに打たれる一方で、年長者が支援するかたちにならざるを得ないなかで、Aさんに負荷がかかりすぎていないか気になります。つねに聴く耳をもち、疲れたら休んでいいことを確認し合いながらゆっくり進んでいきましょう。

(山家直子 出版ネッツ

 

(*)表現の現場ハラスメント白書2021について

www.hyogen-genba.com

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第6回口頭弁論を傍聴して

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5月19日、フリーライターAさんの第6回口頭弁論が開かれ、23名の方が傍聴に駆けつけてくれた。今回は原告側が準備書面4と書証を提出。準備書面は前回提出の積み残しで、症状の経過や、被告によるセクハラ・パワハラ行為と症状との因果関係についてである。

 

性暴力被害者の症状の表れ方はまちまちであり、被害に遭ったあとは「部屋に閉じこもり、仕事などできないはず」などと思い込むのは危険であること、記者会見に出席するなどの行動についても、「支援を受けることによって、被害者が被害を自覚し、受け入れていくプロセスが始まる」のであり、原告の症状や行動は性暴力被害者のたどるプロセスと一致すると述べた。また、被告は主張が場当たり的で、不合理に変わっていること、その場しのぎにすぎず信用性がないこと、それは訴訟の場においても同様であることなどを主張した。

 

前回、裁判官3名のうち1名が女性になったが、今回さらに裁判長が女性に変わり2名が女性となった。4月は異動があるとのことだが、この裁判の特性を考慮したものとも考えられる。ぜひ、女性の視点からの判断をしていただきたい。

 

次回は被告の反論の弁論となる。Aさんは、福祉関係のアルバイトを始めたことを報告するとともに、「準備書面を読んで、気持ちが晴れました。被告がどのような反論ができるのか、してくるのかと思います」とあいさつをされた。皆さんもぜひ裁判傍聴支援をお願いいたします。また、「フリーライターAさんの裁判を支援する会」への加入をお願いいたします。

(鈴木俊勝/支援する会世話人

 

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オンライン勉強会「セクハラ・パワハラ裁判と被害者心理」を開催します

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フリーライターAさんの裁判では、性的被害を受けた後も“何事もなかったかのように”仕事を続けたことが争点の一つになっています。

被害を “なかったことにしよう”と考えたり“ (加害者の)機嫌を損ねないように ”対応したりすることはよくあることと言われます。

こうした被害者心理について、さらにフリーランスへのセクハラ・パワハラの実態について学ぶことで、本裁判への理解を深めていただければと思います。

申し込まれた方には、ウェビナーへの参加に必要な情報を送ります。

TEL:03-3816-2911(出版労連

 

《プログラム》

◆講演:セクハラ・パワハラ裁判と被害者心理

    青龍美和子弁護士、長谷川悠美弁護士(東京法律事務所)

◆話題提供

①性暴力に関する刑法改正の動きについて

小川たまかさん(ライター):主に性暴力を取材。著書に『「ほとんどない」ことにされている側から見た社会の話を。』(タバブックス)。

②なぜ声をあげづらいのか――「表現の現場ハラスメント白書2021」より

田村かのこさん(アートトランスレーター):アート専門の翻訳・通訳者の活動団体「Art Translators Collective」代表。表現の現場調査団メンバー。

木村奈緒さん(フリーランス):ライター業を中心に、取材執筆ほか各種プロジェクトの企画・運営などを行う。表現の現場調査団メンバー。

③支援者から当事者となり見えてきたこと

八幡真弓さん(Praise the brave代表):10代から女性支援に関わるが、自身もレイプ被害にあい当事者に。支援者・当事者の両方の視点からDV・性暴力を捉える。

 

(事務局)

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↓当日のレポートです。ぜひご覧ください。

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『その名を暴け』にみるメディア戦略の戦慄

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すでに、このブログで3回にわたって言及されているノンフィクション『その名を暴け』(新潮社)。アメリカ「ニューヨーク・タイムス」の記者ジョディとミーガンが、ハリウッドの大物プロデューサーだったハーヴェイ・ワインスタインによる性暴力の事実を綿密な調査報道により明らかにするまでとその後を描いたものだ。みっちりと文字が詰まった400ページを超える本書を、わたしも息をつめて読み、被害者の勇気とふたりのジャーナリストの報道への使命感に胸打たれたのだが、別の意味でひどく驚愕した箇所があった。

 

それは、長年にわたる性暴力を「なかったこと」にしたいと目論むワインスタインが雇った弁護士が、ワインスタインに示した戦略のリストだ。ここでターゲットになっているのは、性被害をツイッターで告発した女優ローズ・マッゴーワン。弁護士が、雇い主であるワインスタインに提案したのは次のようなことだ。

 

(1)マッゴーワンに友好的な接触を試みて、つながりができたら「ウィン・ウィン」の関係を築く。彼女がなにを求めているか(たとえば、映画の監督をするなど?)が重要。

(2)ネット上で反撃をおこない、マッゴーワンが病的な嘘つきだと主張する。人々がグーグルで検索するときに最初にヒットするその記事により、彼女の信用はがた落ちになる。

(3)弁護士から、攻撃を止めろという停止通告書を出し、ワインスタインとの契約違反だと警告する。ただし、その通告書がネット上にアップされると、炎上し反発を買うリスクがある。

(4)機先を制して公の取材を受ける。そこで、根拠のないひどい噂に心を痛めている、彼女とのことは合意に基づいた行為だったと強調しつつも、傷つけた人に対して深い悔恨の意を表明する。最初に自ら罪を認めることで世間から高評価が得られる。

(5)ワインスタイン基金を創設し、映画界の男女平等に力を入れる。あるいは、ワインスタイン基準を創設し、全映画の3分の1は女性の監督と脚本家に任せ、自分の支配下にあるすべての映画に、具体的なやり方で男女平等に関する基準を設けると公表する。

(6)好意的な評判を手に入れるために、懇意のSEO検索エンジン最適化〕対策会社に依頼する。その手法は、好意的な記事を「ファイアウォール」にするようにバックリンク〔ほかのサイトからリンクされること。リンクされた量と質が検索順位に影響する〕すること。これで否定的な記事はグーグルのランキングに出てこなくなる。グーグルの最初のページを見た人の95%は、次のページへは行かない。

 

インターネットの画期性には疑いがないが、発信された情報の信憑性をみきわめることは容易ではない。わたしが見ている情報の大半はわたしが好ましいと感じた枠組みで選別されたものだし、ランキングで上位に上がる情報も、お金の力でその位置を得ているかもしれない。わたしたちの気まぐれな好奇心や怒りや、ある種の“正義感”がどのように作用し、操作されうるものなのか、なんともやっかいなものであることを思い知らされる。

 

このリストを作った弁護士リサ・ブルームが、フェミニストとして名高い弁護士の娘で、過去には大統領候補だったトランプへの告発者の代理人を務めたこともあるというのは実に皮肉であり、訴訟社会アメリカを思わせる。本書には、ワインスタインが彼女に手付金として5万ドル振り込んだことや、秘密探偵を使って情報を集めたり、関係者に接触していたりしたことなども明らかにしている。ワインスタインの会社ぐるみの不正揉み消しを粘り強く調査し、報道に漕ぎ着ける記者たちの使命感と力量に感服してしまう。

 

調査報道の力量は望むべくもないわたしたちだけれど、発信する情報については複数の目で内容や表現を吟味し、誤りのないものになるよう今後も努めていこう。またAさんの裁判の行方が、同時にこの社会全体の性暴力をなくすことに通じていると信じて関わっていきたい。

 

(山家直子 出版ネッツ

 

『その名を暴け

──#MeTooに火をつけたジャーナリストたちの闘い』

原題『SHE SAID

ジョディ・カンター、ミーガン・トゥーイー 著

古屋美登里 訳

新潮社

 

 

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「『表現の現場』ハラスメント白書2021」が公表されました

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2021年3月24日、「『表現の現場』ハラスメント白書2021」が公表されました(*1)。

調査を行ったのは、アーティストや作家の有志により発足した「表現の現場調査団」(*2)。

写真、映像、芸術、文芸、報道、演劇、漫画、研究、デザイン、ゲーム、ダンス、古典芸能など、さまざまな「表現の現場」が自由で平等な場となるよう、調査と社会改善に取り組む団体です。

 

調査対象は、表現にかかわる活動・仕事をしている、学生等を含む人たちで、1,449人が回答しています。

このうち「(何らかの)ハラスメントを受けた経験がある」は1,195名にのぼり、「セクハラ経験がある」1,161名、「パワハラ経験がある」1,298名でした。

また、自由筆記の抜粋には、生々しいハラスメント事例が多数紹介されています。

 

この「白書」の特長は、集まった事例をもとに、さまざまな角度から分析を行っていることです。

事例は、「分野ごとに見る」「被害類型ごとに見る」「状況ごとに見る」「立場や属性から見たハラスメント被害」などにカテゴライズされ、各項目をさらに細かく分類のうえ、それぞれの特徴が示されています。

 

たとえば「文芸・ジャーナリズム」分野では、「契約・雇用の不透明さ」「取材相手からのハラスメント」「同業者間のマウンティング及びハラスメント」「編集者によるハラスメント」などに分類され、事例と分析が記載されています。

日本マスコミ文化情報労組会議(MIC)フリーランス連絡会など3団体が行った「フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態調査」(*3)との共通点がみられるのは、表現の現場に、フリーランスで働いている人が多いからだといえるでしょう。

「白書」でも、「フリーランスに対するハラスメントに関する法的保護が薄いことにより、多くの被害が対処困難なまま放置されてしまっている」こと、契約書を作成しないために不当な値切り、超過労働などが蔓延し、さらには人脈やつながりを重視する業界の悪習慣がさまざまなハラスメントの温床にもなっていると指摘しています。

 

「表現の現場調査団」は、今後5年間、表現の場におけるハラスメントやジェンダーバランスの実態把握調査、フリーランス表現者をハラスメントから守るための法改正要求などを行っていくことを目標に掲げています。

同じ目標を持つ者・団体として、今後連携してとりくみを進めていきたいと考えています。

(杉村和美/出版ネッツ

 

 

(*1)「表現の現場」ハラスメント白書2021

 

 

(*2)表現の現場調査団

※「相談窓口」のページには、ユニオン出版ネットワーク(出版ネッツ)のリンクが張られています。

 

(*3)フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態調査

https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2019/09/190910_NEWS-RELEASE_Freelance-Harassment-Survey.pdf 

第5回口頭弁論を傍聴して〜被害者心理への理解を求めて準備書面提出

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 2021年3月24日、東京地裁708号法廷にて第5回口頭弁論が行われました。いつものように、原告側にはAさんと長谷川悠美・青龍美和子両弁護士、被告側は代理人の弁護士1人のみの出席です。傍聴席はAさんを支援する会のメンバーで満席。といっても座席1つおきのため、控室で待っていた人も含め集まったのは20人でした。

 

 今回は、被告側から提出された準備書面への、原告側からの反論として準備書面3を提出したことの確認と、次回日程の調整です。今回原告側からは41ページにおよぶ準備書面3を提出しましたが、さらなる補充の準備書面を提出する予定であることから、ゴールデンウィーク後の第6回口頭弁論の日程を決める、短時間でのやりとりでした。

 

 終了後、弁護士のお二人からの説明と質疑応答がありました。

被告の主張①契約していないから報酬は払う必要がない、②セクハラはしていない、の2点について、次の反論を提出したとのことです。

1.「契約書」という書面が交わされていなくてもメモやライン等の記録から契約は成立しており、原告の作成した記事をホームページに掲載していたことからも業務が遂行されていたことは明らか(現在は削除されているホームページ上のニュース記事キャプチャ等も証拠として提出)

2.セクシュアルハラスメントおよびパワーハラスメントの具体的な内容(時系列に沿って)

3.セクシュアルハラスメント被害を受けた人が、その後も加害者と仕事を続けたり、加害者に迎合的な態度を取ったりすることをもって「合意の上だった、セクハラはなかった」ということができないことの証拠として、さまざまな文献等から被害者心理の説明。また、セクハラが業務上の過剰な要求や、人格の攻撃などといったパワハラに発展しやすいこと、フリーランサーへの調査(*)などから不払いなど経済的いやがらせもパワハラの一環であることも合わせて説明。このような被害者心理を鑑みた裁判例も複数取り上げた。

 

 青龍弁護士は、「セクハラやパワハラは密室での出来事で客観的な証拠がないことが多く、原告と被告の主張のどちらが合理的かで判断される。被告の準備書面やブログの記事が、いかに具体性・信頼性の乏しいものであるか、また加害者が地位や関係性を利用して被害者を信頼させ、手なづけ、経済的に依存させる状況に追い込んだうえで性的暴力をふるうか、精神医学的にも心理学的にも明らかになってきているので、文献等からの証拠を提出した」と説明。さらに、次回、原告の精神的なダメージをカルテも踏まえて提出予定とのことでした。

 

Aさんは、「被告は、記事の質が悪いから報酬は払えないと主張してきたが、私が性的な誘いを断ったことへの腹いせで言っていると、ずっと思ってきました。今回、準備書面で、セクハラとパワハラ・未払いが一体化していることについてまとめていただき、読んでいて胸がすく思いでした」と話されました。

 

支援する会の小日向芳子さんからは、「支援する会に、出版労連出版ネッツに無縁と思われる人からのカンパが届き、裁判に関心が集まっていることを実感している」、また別の争議の原告の方から、「裁判が和解に至り、主張は全面的には通らなかったものの、過去に遡り支払いを受けられることになった」と報告がありました。声をあげ、ねばり強くたたかった人が報われてよかった、Aさんの裁判もそれに続くよう力を合わせねばと思った一コマでした。そして、裁判官の方々には双方の準備書面をしっかり読み込んで、公正かつ社会の進歩につながる判決を示していただきたいと思います。

 山家直子(出版ネッツ

 

(*)フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態調査

https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2019/09/190910_NEWS-RELEASE_Freelance-Harassment-Survey.pdf

 

職場の常識を変えたい―セクハラ裁判第1号の支援者からAさんへ

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 この裁判を知ったとき、セクハラ事件が当たり前のように起き続けている現実に、怒りが湧いてきました。32年前もそう、怒りが行動につながるエネルギー源でした。

 

 1989年8月5日、日本初と言われるセクハラ裁判が福岡で提訴されました。「セクシュアルハラスメント」という言葉も概念も知られていない頃です。結成された支援の会も「職場での性的いやがらせと闘う裁判を支援する会」と名付けられました。私はその事務局の一員でした。

 

 当時、女性運動に携わっている人からでさえ「こんなことで裁判を起こすなんて、地道に積み上げてきた運動が10年後退する」と批判を受けました。しかし実際には、我慢して口には出さなかったけれど「苦しい出来事」「あの気持ち悪さ」を抱えている女性は多く、勇気をもって裁判を起こした原告を心から支援すると300人を超える声が全国から寄せられました。憲法で保障された「幸福追求権」「法の下の平等」「生存権」「労働権」など基本的人権を奪うものであるとの訴えが届き、加害上司だけでなく退職を強要した会社の責任も認めた勝訴判決を得ました。

 

 この裁判記録を「職場の常識は変わる」と題した本にしてから30年。メンバーは、それぞれセクハラ・DV等の性暴力、労働差別などをテーマに活動を続けてきましたが、残念ながら職場の「常識」はあまり変わっていません。私たち世代の力不足で、申し訳なく思います。

 セクハラの認知度は上がりましたが、モラルやマナーのように言われ、基本的人権の問題としての認識が希薄になってきたように感じます。人格を貶め、生きる気力を失わせ、生きる糧である仕事をも奪う、それがセクハラです。

 

 原告のAさんには、心無い言葉や過度な期待が聞こえてくることもあり、気持ちが揺れ動く日もあるでしょう。けれども、Aさんの訴えは至極当然です。私はカンパ行動しかできませんが、原告のAさん、支援の会の皆さん、心から応援しております。

(福岡市在住 三好久美子)

 

 

(注)福岡セクシュアル・ハラスメント裁判とは

1989年8月に提訴された日本初のセクシュアル・ハラスメント裁判。セクハラという言葉もない時代、「職場での性的いやがらせと闘う裁判」として世間の注目を集めた。被害女性は職場の上司から執拗な性的中傷を受け、退職を強要され、取引先などにも同様の中傷をばらまかれた。2年半の会社でのいやがらせ、提訴までの1年3カ月、提訴から判決まで、計6年を費やし、92年4月に原告の全面勝訴となった。

(職場での性的いやがらせと闘う裁判を支援する会『職場の「常識」が変わる――福岡セクシュアル・ハラスメント裁判』インパクト出版会、1992年、より)

 裁判中に同会が発行していたニュース「NO!セクシュアル・ハラスメント」1~19号はNPO法人ウィメンズアクションネットワーク(WAN)のミニコミ図書館にアップされている。 

wan.or.jp

性暴力は、自己責任じゃない

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 私は現在、性暴力の取材に注力しているライターです。

 

 Aさんの裁判が人ごとではないと感じるのは、日頃から性暴力事件を取材しているからということもありますが、Aさんと同じように私もフリーライターだからということも大きいです。

 

 私は20代の頃にフリーライターとして働き、その後会社を起ち上げ、数年前からまたフリーになりました。今思えば、ある程度の経験を経て独立した今と比べ、20代でフリーライターの名刺を作って細々と仕事を始めた頃は、本当に日々不安でした。

 

 当時はよく、「人脈を作らないとダメだよ」と言われました。そう言われていろいろなところに顔を出しましたが、飲み会やイベントにいて、仕事をくれる話をするのは、男性が多かったように思います。

 

 雑用を無償で頼まれて断れない雰囲気になるということがありました。こちらから頼んだわけではないのに、勝手に「弟子」扱いされそうになったこともありました。そうなるとフリーなので基本的に相談する相手がいません。そういった状況にあるフリーランスの立場につけ込む人がいます。

 

 自分でフリーを選んだのだからそんなの自己責任だと言う人がいるのであれば、反論したいと思います。そのような自己責任論は、加害者の反省を阻みます。

 

 

 被告側は、Aさんの納品物の質が低かったから支払いをしていないと主張していると聞きました。同じライターとして、大変腹が立つ主張です。

 

 被告はお客さんから「エステに満足できなかったからお金を払わない」と言われて納得するのでしょうか? あるいはトンカツを食べに行って、まずかったらお金を払わないのが当然と思っているのでしょうか。

 

 文章はエステや食品と違い、納品物を制作し直すことができます。だからこのようなことを言って当然だと思っている発注者が、ときどき現れます。

 

 「部品が欠けている」など明らかな不備がわかりやすい工業品であれば話は別ですが、文章は人によって評価が分かれやすいものです。発注側の気持ちひとつで「質が低い」という難癖をつけやすいものです。

 

 当初被告はAさんの仕事ぶりを称賛していました。支払いの話をした途端、ライターの立場が弱いことにつけ込むかのようにしてこのような理不尽な主張が行われるのであれば、私は断固としてAさんの側に立ちます。 

 

 

 性被害に遭った後も仕事を続けたり、被告にメールを送っていたりすることが不自然だと思われる人がいるかもしれません。

 

 けれど、性暴力を行った側が何事もなかったように日常業務を行うのを目にして、「自分も同じように過ごさなければ」「ことを荒立てない方がよいのかもしれない」と思う被害当事者は珍しくありません。仕事で上下関係があればなおさらです。

 

 心の奥底で「おかしい」と思いながら、それを言い出せない状況に置かれることは、あります。いじめや虐待でも、被害者と加害者が普通のコミュニケーションを取っていることがあった、という場合があるのと同じです。

 

 性暴力はひどい暴力や脅迫のもとで行われるものだけではありません。日常の延長の中で、言葉巧みに誘い込まれたり、騙されたりして、抵抗や抗議をできない状況に追い込まれます。

 

 被害者側からの視点や心理が、今よりも理解される社会になることを願っています。

フリーライター 小川たまか)

 

news.yahoo.co.jp

小川たまかさんによる、Aさんの事件の記事

news.yahoo.co.jp

 

「子育てしながら働く権利」に最高裁は真剣に向き合ったのか? 〜マタハラ裁判原告へのエール〜

 

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※写真はイメージです

 

 2020年12月8日、最高裁は、子どもを育てながら働く権利をめぐって争われた訴訟(=マタハラ裁判)の上告を棄却しました。昨秋、Aさんの裁判支援集会に「原告同士励まし合っていきましょう」とメッセージ(*1)を送ってくれた「女性ユニオン東京」組合員の女性が原告となっている裁判です。私たちフリーライターAさんの裁判を支える会は、この棄却に強く抗議します。

(*1)

「支援する集会」リレートークより〜ハラスメントは誰にでも起こり得ることだからこそ

  • マタハラ裁判とは?

育休明けに保育園が見つからなかった原告が、勤務先の会社の提案を受け「正社員に復帰できる前提の契約社員」として仕事に復帰したところ、1年後に契約終了で雇い止めにあい、その際会社から雇用関係不存在で提訴されたため、地位確認の提訴をしたものです。裁判は、次のような経緯をたどりました。

 一審(東京地裁)判決 雇い止めは無効として、被告に対する損害賠償が認められた。

 二審(東京高裁)判決 雇い止めは合理的理由があったとして逆転敗訴。ハラスメントの証拠としての録音は否定し、「録音は服務規律違反」とした。また、記者会見での発言を名誉棄損とし、原告に55万円の賠償を言い渡した。

 最高裁 上告棄却で東京高裁判決が確定。

 

女性ユニオン東京」のホームページには、原告弁護団とユニオンによる抗議の声明がアップされています。

女性のための労働相談 | 女性ユニオン東京 | 日本

 

声明によると、最高裁は「事実誤認または単なる法令違反」として、原告の訴えを切り捨てたといいます。事実誤認があるとわかっても、審理を行わないとは……。高裁の不当判決後に集められた、出版ネッツを含む815の団体からの「弁論を開いてほしい」「高裁判決を棄却し、育休明けに原職復帰して働き続けることができるような判断をしてほしい」という声は無視されてしまいました。

原告の悔しさを思うと胸が詰まりますが、5年にわたって厳しい闘いを担ってきた原告に、まずは心からの敬意を表します。

 

  • 問題の多い東京高裁判決

この裁判に多くの人々が注目していたのは、高裁判決の内容があまりにも不当で、これを放置すると社会への負の影響力が大きいことが懸念されたからです(*2)。

東京高裁判決の主な問題点はふたつあります。

ひとつは、育休明けの正社員を有期契約社員化し、その後に雇い止めをするという、「育休切りの新たな手口」を容認したことです。被告である会社はフルタイムでは働けない社員のための時短勤務の制度を設けましたが、それと有期雇用への切り替えがセットになっていたのは問題です。育児・介護休業法は、育児を理由にした不利益な取り扱いを禁じていますが、契約社員であれば契約満了で雇い止めすることが可能になってしまうからです。こうした法の抜け穴が容認されたことは、出産後も働き続けたい人にとって大きな打撃です。

もうひとつは、会社側の発言を録音しマスコミに提供したことを雇い止めの理由とし、提訴時の記者会見での発言を会社への名誉毀損と判断したことです。不利益を被った者が記録を残したり、記者会見で広く社会に訴えたりすること自体を問題視することがまかり通ってしまったら、声をあげることができなくなってしまいます。加えて、報道の自由や市民の知る権利を脅かすことにつながるでしょう。

実際に、この高裁判決が出た2019年11月以降、職を奪われた人が裁判を起こし記者会見したことに対し、名誉毀損として会社側が「反訴」を起こすケースが出てきています。  

 

解雇やハラスメント被害にあった人の声を封じる効果をもたらす高裁判決を見直すことなく、上告を棄却した最高裁は、働く人々の権利を容易に侵害しうる非常にあやうい社会状況を作り出してしまったといえます。わたしたちはこのような動向を注視しつつ、さらなる闘いを進めるマタハラ裁判の原告と連携し、ハラスメントのない社会に向けての取り組みを続けていきます。

(事務局) 

 

(*2)高裁判決の問題点については、竹信三恵子さんの2つの論考が参考になります。

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