フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

性や男女平等に関わる教育の後退が事件の背景に

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2021年12月に開催された「Aさんを支える会 総会」での広報チームメンバーの発言を紹介します。
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 Aさんを支える会の広報チームは2020年9月に発足し、Aさんの裁判の支援の輪を広げるため、13人のメンバーで、このブログやTwitterFacebookに裁判の傍聴記や学習会の報告などを掲載し、発信をしてきました。

 さて、今夜はAさんに2つのことをお伝えしようと思います。
 1つは、あなたは立派に闘っているということです。裁判を起こすと決めてから今日まで、きっと多くの葛藤や苦しみがあったことと思います。でも、先日の証人尋問の際のあなたは、つらい質問にも真摯に答えていました。
 訴えられた内容を被告がことごとく否定し、投げかけられた質問にまともに答えないばかりか、曖昧で矛盾だらけの言葉しか発しない時も、あなたは凛としてまっすぐ前を見つめていました。その姿に心から敬意を覚えました。裁判はまだ終わったわけではないけれど、今はとにかく心と体を休めてください。

 もう1つは使い古された表現ではありますが、セクハラは決してあなたのせいではないということです。2020年8月26日、マスコミ向けのレクチャーの際に、あなたは自身が被った性被害について、「私に知識がなかったから、何をされてるのかよくわからなかった」という趣旨のことを話されました。この言葉を聞いて、教育関係の編集の仕事をしてきた私は、「自分はこれまでいったい何をしてきたのだろう」と深く恥じ入り、責任を感じました。
 というのもあなたが性や体について、つまり人権や尊厳について知識がなかったのだとしたら、それはこの国の性教育がとても貧しいからなのです。
 実は1990年代、小中高では性教育を豊かにしていこうという機運が生まれ、たくさんの出版物が作られ、教育実践も盛んでした。しかし、90年代末から2000年代前半にかけ、性教育やさまざまな男女平等に関わる運動は激しいバッシングにさらされました。あなたが小学校高学年から中学生であった頃は学校現場が萎縮し、家庭でも「性」を学ぶ機会は余りなかったのではないかと想像します。
 その一方で、主として若い女性や幼い女の子の性を消費する文化、女性を社会経済的に対等に扱わない文化は、この社会に、インターネット上に、路上やマスメディアや出版物の中にも蔓延しています。人の尊厳を踏みにじるセクハラがいまだに起こっていることを、私たちはもっと恥じ、怒り、変えていかなくてはいけないと改めて思います。
 
 つらい思いを超えて、「もうこんなことが起こらないように」と裁判に踏み切ったAさん、広報チームの一員として関わらせていただいて、ありがとうとお伝えしたいと思います。
この社会を少しでもよくしていくため、これからも一緒に歩んでいきましょう。

山家直子(出版ネッツ