フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

オンライン勉強会 変えたい!セクハラ・パワハラを生み出すわたしたちの社会

 

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 2021年6月16日、フリーライターAさんの裁判を支援する会と出版労連出版ネッツの主催のオンライン勉強会「セクハラ・パワハラ裁判と被害者心理」が開かれました。Aさんの裁判の弁護士のお2人と、ライター、ハラスメント実態調査に取り組んだ団体メンバー、支援者が話をされ、130名が視聴しました。報告と感想を記します。

 

はじめに裁判の担当弁護士・長谷川悠美さんから裁判の概要、ついで弁護士の青龍美和子さんからセクハラ・パワハラ事件についての話がありました。地位・関係性を利用した性暴力発生のプロセスと、抵抗できない被害者心理の背景、ジェンダーギャップ指数が世界153か国中120位(2021年)という男尊女卑社会の日本で、そうした被害者心理が理解されにくい事情について説明されました。その後、フリーライターの小川たまかさんから「地位関係性の中で起こる性暴力」について、表現の現場調査団の田村かのこさんと木村奈緒さんからはハラスメント実態調査の概要(*)と事例紹介、そしてPraise the braveの八幡真弓さんから、「支援者から当事者となり見えてきたこと」という話題提供がありました。

 

表現の現場調査団の実態調査ではAさんの裁判に関連する事例が紹介され、アートや演劇、映画、音楽、文芸、アニメやゲームの業界ではフリーランスとして働く人が多く、法的保護が弱いために被害が放置されている現状が浮かび上がりました。八幡さんのお話からは、パワハラ・セクハラ被害後の回復の過程とは浮き沈みの大きい、一直線に進むようなものではないことが伝わってきました。そして、支援者側が陥りがちな思い込みや、当事者のどのような選択も尊重することの重要性を指摘されました。

 

今回、改めて感じたことは、わたしたちの社会に性暴力容認文化ともいうべきものが蔓延しているということです。被害を受けた側が立証しなければならない司法のあり方、仕事を得るには多少の「〜ハラ」は乗り越えて当然という「常識」、自分に落ち度があるのではと思ってしまう自責の念……。変えたいことばかりです。先日も立憲民主党の刑法改正ワーキングチームの会合で「50歳近くの私と14歳が同意の性交をして捕まるのはおかしい」というトンデモ発言をした政治家が批判を受け撤回・謝罪するという出来事がありましたが、“年齢差や立場を超えた純愛”というファンタジーが誰の側からのものであるかをよくよく考えてみる必要があると感じました。対等な関係や同意についても学びたいです。

 

勉強会の最後は、原告Aさんのあいさつでした。Aさんは、被害を受けた当初の心境、出版ネッツに相談・加入し、支援者や弁護士との関わりの中で意識が変わったこと、社会への怒りや失望、新しい仕事で出会う方たちの姿に触れて生じた前向きな思いを率直に話されました。Aさんの勇気と真摯さに打たれる一方で、年長者が支援するかたちにならざるを得ないなかで、Aさんに負荷がかかりすぎていないか気になります。つねに聴く耳をもち、疲れたら休んでいいことを確認し合いながらゆっくり進んでいきましょう。

(山家直子 出版ネッツ

 

(*)表現の現場ハラスメント白書2021について

www.hyogen-genba.com

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