フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

「Aさんを支援する会(略称)」結成集会が開催されました

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 2020年11月6日、「性暴力と嫌がらせ、不払いを許さない、フリーライターAさんの裁判を支援する集会」が東京・文京区の文京シビックセンターにて開催されました。新型コロナウイルスの影響による人数制限で、第2会場として出版労連の会議室、出版ネッツ関西支部からの参加者をリモートでつなぎ、合計65名の参加がありました。この数字を見れば、Aさんの裁判がいかに注目されているのかがわかります。

 集会は、出版労連委員長の酒井かをりさんのあいさつから始まり、出版ネッツ執行委員の杉村和美さんの事件概要報告、長谷川悠美弁護士・青龍美和子弁護士の裁判状況報告、支援する各団体から7名の方のリレートーク、Aさんのインタビューがあり、出版ネッツ委員長の浜田秀一さんの閉会あいさつの後、支援する会の結成総会と続きました。

 事件の概要は、原告Aさんがエステティックサロンの経営者である被告C氏から同社のHPに掲載する体験記事の執筆依頼を受け、その施術を受けた際に悪質なセクハラ行為があり、さらに怒鳴る、恫喝するなどのパワハラ、報酬の不払いがあったというもの。Aさんから相談を受けた出版ネッツがC氏と団交するも埒があかず、交渉はいったん中断。未払い報酬と慰謝料を請求する提訴に至りましたが、第1回、第2回口頭弁論でもC氏は「セクハラ・パワハラはなかった」「契約はしていない」としてAさんの訴えを全否定しています。

 集会では、吉永磨美(MIC議長・新聞労連委員長)、今城啓子(出版女性会議議長)、嘉納泉(出版ネッツ関西支部)、森崎めぐみ日本俳優連合)、渡辺佳一(出版労連組織・争議対策部)、林美子(メディアで働く女性ネットワーク)、谷恵子(女性ユニオン東京)の各氏によるリレートークが行われ、この事件への憤りとともに、裁判を起こしたAさんの勇気に共感する言葉が述べられました。

 Aさんへのインタビューでは「当初は報酬を取り戻そうという気持ちと、怒りのパワーがあったが、実際に裁判を起こしてみると想像以上につらく、被告の準備書面を読むだけで二次被害に近いものを感じる。けれども、支援してくださる皆さんのためにも体調管理をしっかり行い、がんばってやっていこうと思います」と現在の心境を語ってくれました。

 最後に「支援する会」の結成が満場一致で承認され、会長に選任された出版労連の小日向芳子さんが「この問題の理解を世間に広げていくために、600名の会員を集めることを目標にしたい」と宣言。会場から大きな拍手が送られました。私も微力ながら、裁判の支援、性差別の根絶に取り組んでいこうと思います。
 今後とも、皆様の応援、ご支援のほど、どうぞよろしくお願いいたします。

(ライター・佐久間真弓

 

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集会チラシの訂正とお詫び

11月6日の集会は盛況のうちに無事終了いたしました。ご参加くださったみなさま、どうもありがとうございました。詳しい報告記事は追ってアップいたしますが、当日配布した資料に訂正があります。

 

⚫︎提訴の日付
資料の「事実経過」の表中では7月14日となっていますが、正しくは7月13日です。

⚫︎会の略称
資料や事前配布したチラシなどには「Aさん支援する会」となっていますが、正しくは「Aさんを支援する会」です。

 

以上、お詫びして訂正いたします。

(事務局)

※この記事は、noteから移行した記事です

Aさんの裁判をより理解していただくための資料紹介【メディア掲載】

週刊金曜日(2020年9月25日)西村仁美さん

www.kinyobi.co.jp

「簡単にどんな事件か知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。事件の内容と記者会見でのAさんの発言をまとめてくださいました。


●ヤフーニュース(2020年9月9日)小川たまかさん

news.yahoo.co.jp


「もっと詳細に事件について知りたい」という方は、こちらの記事をご覧ください。被告の主張や言動も記載されています。インターネットが普及して以降、出版社や編集プロダクションなどの制作会社ではない事業者がライティング業務を発注するケースが増えていることにも注意を喚起しています。

●弁護士ドットコムニュース(2020年10月1日)出口絢さん

www.bengo4.com


性暴力の被害者が「加害者から逃げられない」という心理を、Aさんの記者会見の内容を通して臨床心理士・齋藤梓さんが解説してくださっています。

渋谷のラジオ(2020年9月22日 9:00-9:55放送)

note.com

Aさんの裁判を事例に「被害者はなぜ逃げられないか」について話し合ったラジオ放送です。フリーライターの小川さんは、性暴力被害者を取材してきた立場から「グルーミング(手なずける)」という概念を紹介。杉村さんは、フリーランスにとって「権利確立」や「セーフティネットを整備すること」が大事と話しています。

出演:遠藤智子さん (社会的包括サポートセンター)
小川たまかさん(フリーライター
杉村和美さん(ユニオン出版ネットワーク)

 

※この記事は、noteから移行した記事です

セクハラ被害者の私が「自分に非はない」と思う理由

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性暴力の被害者が、自分自身を責めることはよくあります。私も自分を責めました。

 

「なんで早く逃げなかったんだろう」
「もっと早く誰かに相談していたら」
「自分が人として未熟だからこんなことになった」

 

この先もずっと後悔すると思うし、思い出すと落ち込むと思います。

 

でも、自分が”悪い”とは思いません。自分に“非がある”とは思いません。私が未熟であるからといって、それがハラスメントを受けていい理由にはならないからです。

 

人として未熟であったとしても、誰もその人の人権を侵害することはできません。

 

平均的ではない子供は、いじめられてもしょうがないですか?

 

仕事で大きなミスをしたら、上司に暴力を振るわれても黙って受け入れるべきですか?

 

肌を見せるファッションが好きな人は、知らない人にいきなり体を触られても許すべきですか?

 

外見が綺麗でなかったら、無視されてもしょうがないですか?

 

あなたがどんな人であれ、誰かがあなたの「人間らしい幸せな毎日」を奪っていい訳はありません。

(原告A)

※この記事は、noteから移行した記事です

原告Aさんからのメッセージ〜性被害者が提訴するということ〜

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裁判をすると決め、訴状を作るために「性被害を受けたときの相手と自分の一挙一動」や「自分を怒鳴りつけたときの相手の言葉」などの“消えてほしい記憶”を掘り起こすことは、自ら進んで自分の首を絞めるような作業でした。

 

思い出すのが嫌で裁判から逃げたいと思うときもありますが、それでも裁判をするのは「自分が裁判をしないことで、新たなターゲットを見つけられて次の被害者が出るかもしれない」という恐れがあるからです。私は被害者になってしまいましたが、これ以上被害者は生まれてほしくないです。

 

性犯罪の加害者には、自分のことをあまり悪いと思っていない人や「捕まらない自分の万能感」に酔っている人が多いと聞きました。しかし、被害者は一瞬で地獄に落とされ、被害を避けられなかった自分を責め、なかには自ら命を絶つまで追い詰められる人もいます。

 

性犯罪やパワハラなどの悪質な行為を抑止するために、“悪いことは悪いこと”としてしかるべき対応がなされる世の中に変わってほしいです。その小さな一歩として、この裁判が「経済的嫌がらせ」や「立場を利用した性犯罪」は決して許されることではないと、世の中に少しでも広まる機会になってほしいと願っています。

(原告A)

Aさんの背後には多くのAさんがいる

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フリーライターAさんの裁判を支援する会」が立ち上がったとき、私自身が若い頃に体験したセクハラ事件を思い出した。事件というほどではないが、セクハラはセクハラである。

 

それは私が編プロで働いていたときのこと。その編プロの後ろ盾になっていたのが某有名大学の名誉教授で、時々、接待のようなことをやっていた。私は入社したてで、どういう人物かもよく知らず、当時、70代と思われる教授の隣に座らされた。

 

すると、知らぬ間に教授の手が私の太ももを触っていたのである。「え、なに!?」とは思ったものの、会社にとって重要な人物だと聞かされていたので、じっと我慢していた。場所は二次会のスナックのようなところで、チークまで踊らされ、腰に手を回された。ずっと我慢し続けて、ようやく解散となり、自宅に戻ると、腕が痒くなり、赤いぽつぽつが広がっていった。ストレス性の蕁麻疹のようだった。  身体は正直である。

 

翌日、出社して早速、上司に「こういうことはやらせないでほしい」と訴えたが、「あの人がいないと、うちも困るから」といわれ、うやむやにされてしまった。そんなことがあってから、私は2度とその教授のそばには行かないようにした。

 

これは20年以上も前の話である。そのとき、私は「日本は男社会で、女性は同等には扱われず、性の対象として見られているのだ」と痛感したのを覚えている。いくら男女雇用機会均等法ができ、その後の改正でセクハラが禁止されても、多くの男性の意識は昔と大差ないのだと、Aさんの事件を通して思い知らされた。

 

おそらく私のような経験をした女性は、ものすごく多いのではないかと想像する。抗議しても適当にあしらわれたり、何をいっても無駄だと泣き寝入りしたりした女性がどれだけいるだろう。

 

今回、セクハラした男性・会社を提訴したAさんの背後には、数知れない多くのAさんがいるのだ。Aさんが勇気を振り絞って裁判を起こしたことに、私を含めて多くの女性が共感し応援していることを、裁判を通して世に知らしめたいと思う。そして、日本社会が少しでも変わることを願っている。

フリーライター・にゃんころりん)

※この記事は、noteから移行した記事です

Aさんの裁判を傍聴して

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去る10月28日、東京地裁にてAさんの裁判が開かれました。2回目の法廷(口頭弁論)です。裁判官は1回目はおひとりだったのですが、今回からは3名による合議制に変わりました。この訴訟が多くの注目を集めていることを裁判所側が意識したことによるようです。それに伴って法廷もより広い部屋になったのですが、それでも入りきれないくらいの多くのAさんの支援者が傍聴にかけつけてくれました。

 

 前回は被告側は文書を出しただけで誰も現れなかったのですが、今回は代理人(弁護士)がひとり出席しました。事前に被告側から訴状に対する反論の文書が出されていたそうですが、こちら(原告)側の弁護士の方に聞いたところでは、これが矛盾や事実ではないことが随所に見られる残念なものだったとのこと。そのため、こちら側はそれにすぐに反論するのではなく、まずは疑問点を事前に被告側に示していたそうなのですが、残念ながらそれに対するまともな答えはありませんでした。


 実は、被告側の文書についてのやりとりの中で、「このことは文書のどこに書かれているのか」というこちら側からの問いに対し、被告側が、自分の作成した文書であるにも関わらず「わかりにくいのですが」などと言いながら、えんえんと文書をひっくり返して探し続けるという不思議な場面がありました。結局分からず、こちら側からの「ここのことですか」という指摘で「あ、それですね」とそれらしいものが見つかった始末で、被告側文書の質は推して知るべし、と感じました。


 次回の法廷は12月7日。被告側の反論に対する原告側の再反論です。傍聴できる「口頭弁論」の形で行われますので、ぜひ多くの方にお越しいただきたいと思います。


渡邊佳一(三省堂労組)

※この記事は、noteから移行した記事です

「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動で

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Aさんが出版ネッツに相談に来たのは昨年10月末。最初は労働局に相談に行ったが、労働局で相談を受けるのは雇用労働者のみ。たまたま相談担当者が出版ネッツのことを知っていて紹介してくれたという。よくぞつながってくれたと思う。相談するという行為は、非常に勇気とエネルギーのいる行為だ。セクハラのようなプライバシーにも関わる問題はなおさらのこと。勇気を出して相談に来てくれたAさんに応え、解決までともに歩もうと心に決めた。

 

 出版ネッツのトラブル対策チームでは、当初、団体交渉で解決を図ろうと考え、12月と今年2月の2回、交渉をおこなった。しかし、相手方(以下、被告)は威圧的な態度で揚げ足取りに終始するなど交渉が進まず、結局団体交渉はいったん中断した。そして弁護士交渉を試みたが、被告が応じなかったため、裁判をするかどうかを相談した。

 

 ご承知のとおり、裁判という手段は非常にハードルが高い。まず弁護士費用などお金がかかるし、時間的にも長期戦を覚悟しなければならない。加えて、裁判自体が、加害者側から二次被害を受ける場になることも懸念される。Aさんは、どれほど悩んだことだろう。だが、Aさんは提訴することを選んだ。揺れる気持ちを断ち切り決断したのは「これ以上被害者は生まれてほしくない」との思いだと語っている。

 

 セクハラ、パワハラ、報酬不払い――フリーランスの多くが、これらの被害体験を持っているのではないだろうか。その意味で、この裁判はAさんの尊厳を回復するものであると同時に、「ハラスメント被害を出さない」社会にしていくための一人ひとりの闘いでもあると思う。「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動でA さんとともに歩むことを呼びかけたい。

 

 11月6日、Aさんの裁判を「支援する会」が発足する。

 ご協力をお願いいたします。

出版ネッツ/杉村和美)

 

※この記事は、noteから移行した記事です

第2回口頭弁論が行われました

10月28日(水)東京地裁にてAさんの裁判の第2回口頭弁論が行われ、28名の方が傍聴に駆けつけてくださいました。ありがとうございます。

 

被告側から訴状に対する「認否」の書面が提出され、内容の一部はみとめたものの、「セクハラ・パワハラはなかった」と否定しています。

 

セクシャルハラスメントは客観的な証拠というのが残りにくいものですが、私たちはAさんのことばを信じ、裁判を通して事実を立証していきます。

 

詳しくは追って掲載予定です。引き続き、ご注目・ご支援ください。

(事務局)

※この記事は、noteから移行した記事です

Aさんのことばを信じます

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「女はいくらでも嘘をつける」と言い放つ国会議員、人生相談の記事で相談者を「嘘、大げさ」と決めつけるような回答者など、性暴力や性被害を受けたという人のことばを真っ向から全否定する人が、います。

 

性暴力は、第三者のいないところで起こることが多い。客観的な証拠はないかもしれない。そもそも、自分が悪いのかもとか、こんなことくらいで騒いだらおかしいのかなとか、思わされてしまうのが性暴力だったりする。

 

だから、自分はなんらかの被害を受けたってだれかに言うこと自体が、とてつもなく大きなエネルギーの必要なことなんだと、わたしは思う。

 

今日、Aさんの裁判の第2回口頭弁論がおこなわれる。
被告(Aさんが訴えている相手)は、Aさんの訴えに対して何を述べるのだろう。そのことばは信用に値するのだろうか。

 

自らの記憶を、苦しみながらも思い起こし、裁判に臨むAさんのことばを、わたしは信じます。

(のら)

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