フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

原告Aさんからのメッセージ〜性被害者が提訴するということ〜

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裁判をすると決め、訴状を作るために「性被害を受けたときの相手と自分の一挙一動」や「自分を怒鳴りつけたときの相手の言葉」などの“消えてほしい記憶”を掘り起こすことは、自ら進んで自分の首を絞めるような作業でした。

 

思い出すのが嫌で裁判から逃げたいと思うときもありますが、それでも裁判をするのは「自分が裁判をしないことで、新たなターゲットを見つけられて次の被害者が出るかもしれない」という恐れがあるからです。私は被害者になってしまいましたが、これ以上被害者は生まれてほしくないです。

 

性犯罪の加害者には、自分のことをあまり悪いと思っていない人や「捕まらない自分の万能感」に酔っている人が多いと聞きました。しかし、被害者は一瞬で地獄に落とされ、被害を避けられなかった自分を責め、なかには自ら命を絶つまで追い詰められる人もいます。

 

性犯罪やパワハラなどの悪質な行為を抑止するために、“悪いことは悪いこと”としてしかるべき対応がなされる世の中に変わってほしいです。その小さな一歩として、この裁判が「経済的嫌がらせ」や「立場を利用した性犯罪」は決して許されることではないと、世の中に少しでも広まる機会になってほしいと願っています。

(原告A)

Aさんの背後には多くのAさんがいる

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フリーライターAさんの裁判を支援する会」が立ち上がったとき、私自身が若い頃に体験したセクハラ事件を思い出した。事件というほどではないが、セクハラはセクハラである。

 

それは私が編プロで働いていたときのこと。その編プロの後ろ盾になっていたのが某有名大学の名誉教授で、時々、接待のようなことをやっていた。私は入社したてで、どういう人物かもよく知らず、当時、70代と思われる教授の隣に座らされた。

 

すると、知らぬ間に教授の手が私の太ももを触っていたのである。「え、なに!?」とは思ったものの、会社にとって重要な人物だと聞かされていたので、じっと我慢していた。場所は二次会のスナックのようなところで、チークまで踊らされ、腰に手を回された。ずっと我慢し続けて、ようやく解散となり、自宅に戻ると、腕が痒くなり、赤いぽつぽつが広がっていった。ストレス性の蕁麻疹のようだった。  身体は正直である。

 

翌日、出社して早速、上司に「こういうことはやらせないでほしい」と訴えたが、「あの人がいないと、うちも困るから」といわれ、うやむやにされてしまった。そんなことがあってから、私は2度とその教授のそばには行かないようにした。

 

これは20年以上も前の話である。そのとき、私は「日本は男社会で、女性は同等には扱われず、性の対象として見られているのだ」と痛感したのを覚えている。いくら男女雇用機会均等法ができ、その後の改正でセクハラが禁止されても、多くの男性の意識は昔と大差ないのだと、Aさんの事件を通して思い知らされた。

 

おそらく私のような経験をした女性は、ものすごく多いのではないかと想像する。抗議しても適当にあしらわれたり、何をいっても無駄だと泣き寝入りしたりした女性がどれだけいるだろう。

 

今回、セクハラした男性・会社を提訴したAさんの背後には、数知れない多くのAさんがいるのだ。Aさんが勇気を振り絞って裁判を起こしたことに、私を含めて多くの女性が共感し応援していることを、裁判を通して世に知らしめたいと思う。そして、日本社会が少しでも変わることを願っている。

フリーライター・にゃんころりん)

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Aさんの裁判を傍聴して

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去る10月28日、東京地裁にてAさんの裁判が開かれました。2回目の法廷(口頭弁論)です。裁判官は1回目はおひとりだったのですが、今回からは3名による合議制に変わりました。この訴訟が多くの注目を集めていることを裁判所側が意識したことによるようです。それに伴って法廷もより広い部屋になったのですが、それでも入りきれないくらいの多くのAさんの支援者が傍聴にかけつけてくれました。

 

 前回は被告側は文書を出しただけで誰も現れなかったのですが、今回は代理人(弁護士)がひとり出席しました。事前に被告側から訴状に対する反論の文書が出されていたそうですが、こちら(原告)側の弁護士の方に聞いたところでは、これが矛盾や事実ではないことが随所に見られる残念なものだったとのこと。そのため、こちら側はそれにすぐに反論するのではなく、まずは疑問点を事前に被告側に示していたそうなのですが、残念ながらそれに対するまともな答えはありませんでした。


 実は、被告側の文書についてのやりとりの中で、「このことは文書のどこに書かれているのか」というこちら側からの問いに対し、被告側が、自分の作成した文書であるにも関わらず「わかりにくいのですが」などと言いながら、えんえんと文書をひっくり返して探し続けるという不思議な場面がありました。結局分からず、こちら側からの「ここのことですか」という指摘で「あ、それですね」とそれらしいものが見つかった始末で、被告側文書の質は推して知るべし、と感じました。


 次回の法廷は12月7日。被告側の反論に対する原告側の再反論です。傍聴できる「口頭弁論」の形で行われますので、ぜひ多くの方にお越しいただきたいと思います。


渡邊佳一(三省堂労組)

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「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動で

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Aさんが出版ネッツに相談に来たのは昨年10月末。最初は労働局に相談に行ったが、労働局で相談を受けるのは雇用労働者のみ。たまたま相談担当者が出版ネッツのことを知っていて紹介してくれたという。よくぞつながってくれたと思う。相談するという行為は、非常に勇気とエネルギーのいる行為だ。セクハラのようなプライバシーにも関わる問題はなおさらのこと。勇気を出して相談に来てくれたAさんに応え、解決までともに歩もうと心に決めた。

 

 出版ネッツのトラブル対策チームでは、当初、団体交渉で解決を図ろうと考え、12月と今年2月の2回、交渉をおこなった。しかし、相手方(以下、被告)は威圧的な態度で揚げ足取りに終始するなど交渉が進まず、結局団体交渉はいったん中断した。そして弁護士交渉を試みたが、被告が応じなかったため、裁判をするかどうかを相談した。

 

 ご承知のとおり、裁判という手段は非常にハードルが高い。まず弁護士費用などお金がかかるし、時間的にも長期戦を覚悟しなければならない。加えて、裁判自体が、加害者側から二次被害を受ける場になることも懸念される。Aさんは、どれほど悩んだことだろう。だが、Aさんは提訴することを選んだ。揺れる気持ちを断ち切り決断したのは「これ以上被害者は生まれてほしくない」との思いだと語っている。

 

 セクハラ、パワハラ、報酬不払い――フリーランスの多くが、これらの被害体験を持っているのではないだろうか。その意味で、この裁判はAさんの尊厳を回復するものであると同時に、「ハラスメント被害を出さない」社会にしていくための一人ひとりの闘いでもあると思う。「MeToo」「WithYou」の思いと言葉と行動でA さんとともに歩むことを呼びかけたい。

 

 11月6日、Aさんの裁判を「支援する会」が発足する。

 ご協力をお願いいたします。

出版ネッツ/杉村和美)

 

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第2回口頭弁論が行われました

10月28日(水)東京地裁にてAさんの裁判の第2回口頭弁論が行われ、28名の方が傍聴に駆けつけてくださいました。ありがとうございます。

 

被告側から訴状に対する「認否」の書面が提出され、内容の一部はみとめたものの、「セクハラ・パワハラはなかった」と否定しています。

 

セクシャルハラスメントは客観的な証拠というのが残りにくいものですが、私たちはAさんのことばを信じ、裁判を通して事実を立証していきます。

 

詳しくは追って掲載予定です。引き続き、ご注目・ご支援ください。

(事務局)

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Aさんのことばを信じます

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「女はいくらでも嘘をつける」と言い放つ国会議員、人生相談の記事で相談者を「嘘、大げさ」と決めつけるような回答者など、性暴力や性被害を受けたという人のことばを真っ向から全否定する人が、います。

 

性暴力は、第三者のいないところで起こることが多い。客観的な証拠はないかもしれない。そもそも、自分が悪いのかもとか、こんなことくらいで騒いだらおかしいのかなとか、思わされてしまうのが性暴力だったりする。

 

だから、自分はなんらかの被害を受けたってだれかに言うこと自体が、とてつもなく大きなエネルギーの必要なことなんだと、わたしは思う。

 

今日、Aさんの裁判の第2回口頭弁論がおこなわれる。
被告(Aさんが訴えている相手)は、Aさんの訴えに対して何を述べるのだろう。そのことばは信用に値するのだろうか。

 

自らの記憶を、苦しみながらも思い起こし、裁判に臨むAさんのことばを、わたしは信じます。

(のら)

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10月28日(水)、第2回裁判です。

10月28日(水)10時5分より、東京地裁708号法廷にて第2回口頭弁論(裁判)が開かれます。原告Aさんを励ますためにも裁判傍聴をお願いいたします。

 

ただし、三密対策のため法廷内には12人ほどしか入れないそうです。恐れ入りますが、法廷内に入れない場合があることをご了承いただけますと幸いです。裁判は書面のやり取りのみなので、10分くらいで終わる予定です。

 

裁判終了後、弁護士が裁判内容の説明を行います。第2回裁判では、被告側から訴状に対する「認否」が書かれた書面が提出される予定です。ぜひ、ご参加ください。


(事務局)

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Twitterで発信しています!

 

アカウントは、@withyou_netsです。
https://twitter.com/withyou_netsからフォロー、よろしくお願いします。


また、2020年11月6日に支援集会を行います。
私たちは、この裁判を通してセクハラや経済的嫌がらせのない社会を目指したいと思っています。
この活動にご賛同いただける方の参加をお待ちしております。
詳細は、こちらのチラシをクリックしてご覧ください。

日 程:2020.11.6(金)18:30~20:30
会 場:文京シビックセンター 4階ホール
主 催:日本出版労働組合連合会出版労連)/出版ネッツ
内 容:
 《第1部》支援集会(18:30~)
 《第2部》支援会結成総会(20:00~)
※参加申し込みは不要です。


(事務局)

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フリーライターAさんの裁判とは?

■訴えの内容

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2020年7月13日、フリーライターのAさんが東京都中央区銀座でエステティックサロンを経営するB社(以下B社)とその経営者C氏を相手取って、東京地裁に提訴しました。訴えの内容は、①不払い報酬の支払い請求、②望まない性的行為とセクハラ発言とパワハラにより精神的苦痛を受けたことへの慰謝料請求です。

■事件の概要

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※画像はイメージです

○体験取材中の悪質なセクハラ

Aさんは2019年3月、C氏より「B社の体験記事を書いてほしい」との依頼を受けました。Aさんは、記事を執筆するためにB社で施術体験を受けましたが、その6回目、C氏は施術中に同意なくAさんのプライベートゾーン(水着で隠れる部分のこと)に触るという悪質な性的行為に及びました。

強いショックを受けたAさんは以降の施術を断った上で、B社の仕事を続けました。C氏から「B社のウェブサイトのSEO検索エンジン最適化)対策、記事作成を専任でやってほしい」との依頼を受けていたからです。フリーランスとして生計を立てていきたいと思っていたAさんにとって、「専任」という安定した形で仕事ができるのは願ってもないこと。Aさんはこのときの心情を「セクハラはなかったことにしようと、自分に言い聞かせた」と後に語っています。

○報酬の支払い拒否、突然のパワハラ

同年7月1日にAさんとB社は業務委託契約を締結。8月1日からAさんは毎日(土日の休みもなく)記事を執筆し、B社のサイトで公開しています。当初、C氏はAさんの仕事を高く評価していました。

ところが1回目の締日にあたる8月31日の打ち合わせ時に、C氏は突如「こんな質の低い記事に報酬は払えない」と言って、Aさんを責め立てました。Aさんは「指示してもらえれば修正します」と具体的指示を求めましたが、C氏はそれには答えず、「知識が足りない」「あなたは未熟すぎる」などと抽象的な批判を行うばかりでした。

それでもAさんは、9月に入ってからも仕事を続けました。しかし8・9月分の報酬は支払われず、打ち合わせのたびにC氏からパワハラやセクハラを受け、Aさんは体調を崩してしまいました。そして10月21日、Aさんは「8~10月分を支払っていただき、契約終了したい」旨を伝えます。しかし、その後も報酬はまったく支払われませんでした。

■看過できない人格権の侵害行為

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B社およびC氏によるこれら一連の行為は、Aさんの人格権を侵害する行為であり、決して許されるものではありません。そして、Aさんへのセクハラ、パワハラは、発注者とフリーランスという力関係の差を背景に、B社の業務に関連して行われた行為です。よって、裁判では、使用者責任ないし安全配慮義務違反による債務不履行責任に基づき、慰謝料を請求しています。

2020年6月からパワハラ防止法、改正均等法が施行されていますが、フリーランスへのハラスメント防止策に関しては「事業主の措置義務」とはならず、「望ましい取り組み」の表記にとどまりました。また、報酬不払いに対する強い規制がないために、フリーランスへの報酬不払いや減額が横行しています。この裁判は、Aさんの損なわれた尊厳を回復するためのものであると同時に、フリーランスが置かれている状況、権利保護の弱さに対する問題提起ともなるものです。

■この裁判を一緒に支えてください!

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多くの困難を抱えるなかにあって、勇気をもって声をあげたAさんの闘いに対して、支援を呼びかけたいと思います。この裁判の支援を通して、Aさんとともに経済的嫌がらせやハラスメントのない社会に変えていきたいと考えています。ぜひ、ご支援、ご協力をお願いします。