フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

最終口頭弁論 傍聴記 Aさん、ここまで本当にお疲れさまでした

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 報酬不払いとセクハラ・パワハラの損害賠償を求める裁判が2022年2月16日、結審した。当日東京地裁には25人の支援者が集結したが、コロナ禍「第6波」の渦中であり、前回26席だった傍聴席は16席に減らされた。

13時10分、予定より5分ほど早く開廷。書証のやり取りの後、原告Aさんの希望により、最終意見陳述が行われた。

 一礼したAさんは立ったまままっすぐ正面を見つめ、メモを読み上げた。

被告は人生で大切なものを奪った。裁判の最中に体調を崩してしまったが、続けたのは新たな被害者を生まないため、他のフリーランスに対してこの事件を教訓にしてほしかったため。フリーランスは増加傾向にあるが、2022年4月施行のハラスメント防止法の適用対象外であり、大勢が搾取され傷ついている。性的行為を受け入れない報復として報酬不払いなどが行われているとし、公正な判決を求めた。

約5分間の陳述の間、裁判長と裁判官(左陪席)は書類を見ず、Aさんを見ていた。特に左陪席はうなずきながら訴えを聞いていた。

 

 閉廷後の集会では、まず長谷川悠美・青龍美和子両弁護士が結審にあたり、裁判官に理解を深めてもらうため、事件の概要と争点、事実経過と証拠等について網羅した最終準備書面を提出したことを報告。さらに、「陳述の最中、左陪席はAさんを見つめ、話を聞いていた。その勢いで判決を書いてほしい」と語った。

 なお、被告側も最終準備書面を提出したが、弁護団によれば従来の主張を繰り返すのみであったという。

 

 次に、山田一英氏(二玄社労組)、仁田裕子氏(女性ユニオン東京)、柚木康子氏(全労協女性委員会)、酒井かをり氏(出版労連中央執行委員長)、杉村和美氏(出版ネッツ)が激励の挨拶。

 そのうち2人のコメントを紹介する。

「セクハラは職場で日常的に行われているが、被害者はなかなか声をあげることができない。雇用されていても難しいのに、何の保証もないフリーランスであればなおさら訴えにくい。フリーランスのセクハラ・パワハラは労組ではなかなか取り組みにくいと思っていた。しかし、Aさんが声をあげ、皆さんがずっと応援してきたことは大きな力になる。Aさんに感謝している」(仁田氏)

フリーランスはハラスメント防止法の適用外だが、個人事業主のケガや事故について、使用者には安全配慮義務があるとする判決が出ている。今回はセクハラについて安全配慮義務違反を訴えた初の裁判。いい判決が出れば、たとえフリーランスが法の適用対象外であっても、対処してもらえるきっかけになる。フリーランスが安心して働ける環境づくりの一助になる」(杉村氏)

 

 最後にAさんは集まった支援者を前に、笑顔で感謝の言葉を述べた。

「次回は判決です。これで終わりになるのか、それとも裁判が続くのかわかりませんが、私としてはフリーランスの立場と権利を守るため、自分にできることをやっていくつもりです」。

 声にも明るさが感じられた。

判決は5月。ここまで本当にお疲れさまでした。判決まで時間がある。その間、支援者たちで署名活動を行う。あともう少し、がんばろうAさん!

松本浩美(出版ネッツ