フリーライターAさんの裁判を支援する会

すべてのハラスメントにNO!性暴力と嫌がらせ、報酬不払いを許さない! 勇気をもって声をあげたAさんの裁判を支援する会です。出版ネッツのメンバーが運営しています。

第5回口頭弁論を傍聴して〜被害者心理への理解を求めて準備書面提出

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 2021年3月24日、東京地裁708号法廷にて第5回口頭弁論が行われました。いつものように、原告側にはAさんと長谷川悠美・青龍美和子両弁護士、被告側は代理人の弁護士1人のみの出席です。傍聴席はAさんを支援する会のメンバーで満席。といっても座席1つおきのため、控室で待っていた人も含め集まったのは20人でした。

 

 今回は、被告側から提出された準備書面への、原告側からの反論として準備書面3を提出したことの確認と、次回日程の調整です。今回原告側からは41ページにおよぶ準備書面3を提出しましたが、さらなる補充の準備書面を提出する予定であることから、ゴールデンウィーク後の第6回口頭弁論の日程を決める、短時間でのやりとりでした。

 

 終了後、弁護士のお二人からの説明と質疑応答がありました。

被告の主張①契約していないから報酬は払う必要がない、②セクハラはしていない、の2点について、次の反論を提出したとのことです。

1.「契約書」という書面が交わされていなくてもメモやライン等の記録から契約は成立しており、原告の作成した記事をホームページに掲載していたことからも業務が遂行されていたことは明らか(現在は削除されているホームページ上のニュース記事キャプチャ等も証拠として提出)

2.セクシュアルハラスメントおよびパワーハラスメントの具体的な内容(時系列に沿って)

3.セクシュアルハラスメント被害を受けた人が、その後も加害者と仕事を続けたり、加害者に迎合的な態度を取ったりすることをもって「合意の上だった、セクハラはなかった」ということができないことの証拠として、さまざまな文献等から被害者心理の説明。また、セクハラが業務上の過剰な要求や、人格の攻撃などといったパワハラに発展しやすいこと、フリーランサーへの調査(*)などから不払いなど経済的いやがらせもパワハラの一環であることも合わせて説明。このような被害者心理を鑑みた裁判例も複数取り上げた。

 

 青龍弁護士は、「セクハラやパワハラは密室での出来事で客観的な証拠がないことが多く、原告と被告の主張のどちらが合理的かで判断される。被告の準備書面やブログの記事が、いかに具体性・信頼性の乏しいものであるか、また加害者が地位や関係性を利用して被害者を信頼させ、手なづけ、経済的に依存させる状況に追い込んだうえで性的暴力をふるうか、精神医学的にも心理学的にも明らかになってきているので、文献等からの証拠を提出した」と説明。さらに、次回、原告の精神的なダメージをカルテも踏まえて提出予定とのことでした。

 

Aさんは、「被告は、記事の質が悪いから報酬は払えないと主張してきたが、私が性的な誘いを断ったことへの腹いせで言っていると、ずっと思ってきました。今回、準備書面で、セクハラとパワハラ・未払いが一体化していることについてまとめていただき、読んでいて胸がすく思いでした」と話されました。

 

支援する会の小日向芳子さんからは、「支援する会に、出版労連出版ネッツに無縁と思われる人からのカンパが届き、裁判に関心が集まっていることを実感している」、また別の争議の原告の方から、「裁判が和解に至り、主張は全面的には通らなかったものの、過去に遡り支払いを受けられることになった」と報告がありました。声をあげ、ねばり強くたたかった人が報われてよかった、Aさんの裁判もそれに続くよう力を合わせねばと思った一コマでした。そして、裁判官の方々には双方の準備書面をしっかり読み込んで、公正かつ社会の進歩につながる判決を示していただきたいと思います。

 山家直子(出版ネッツ

 

(*)フリーランス・芸能関係者へのハラスメント実態調査

https://blog.freelance-jp.org/wp-content/uploads/2019/09/190910_NEWS-RELEASE_Freelance-Harassment-Survey.pdf