2月8日 第4回口頭弁論の傍聴にご参加ください
2月8日(月)13時15分より、東京地方裁判所709号法廷にて
第4回口頭弁論(裁判)が開かれます。
被告側が、前回の原告側の主張に反論する番です。
この裁判が多くの注目を集めていることを、
裁判官や被告に意識してもらうことはとても重要です。
原告Aさんを励ますためにも傍聴をお願いいたします。
コロナ禍のため、検温・消毒・マスクの着用など感染対策をしてお越しください。
また、密を避けるため法廷内には12人ほどしか入れないそうです。
恐れ入りますが、法廷内に入れない場合があることをご了承くださいませ。
裁判終了後、弁護士による裁判内容の説明を予定しています。
ご参加のほど、よろしくお願いいたします。
(事務局)
これまでの口頭弁論については、こちらをご覧ください。
立ち上がるのは、新たな被害を防ぐため ~『その名を暴け』にみる被害者心理(3)~
『その名を暴け』に登場する被害女性たちは、ニューヨーク・タイムズの取材に、最初は一様に口が重い。秘密保持契約を結ばされていた場合もあれば、加害者を匿名告発したことで、スポンサーから契約を切られるなど傷を負っていた場合もあった。
「ハリウッドの絶対権力者」ハーヴェイ・ワインスタインのセクハラが始まったのは、1990年頃。タイムズがその性暴力についてスクープするのが2017年10月。実に30年近く、女性たちは黙らされていたことになる。
タイムズの記者ジョディ・カンターとミーガン・トゥーイーは、その粘り強い取材により、女性たちにエールを送り続け、そのことが女性たちの口を開かせた。
記者が信頼できる人物だったから…というだけで、証言者たちはすんなり「事実の公表」にGOサインを出したわけではない。
第一報に載ったのは、女優アシュレイ・ジャッドと、ミラマックス(ワインスタインが運営する映画製作会社)の元従業員ローラ・マッデンの被害体験だったが、『その名を暴け』に綴られている、この2人の「公表前夜」の心境は、読んでいて本当に息がつまる…。とりわけ、ジャッドとちがい、映画界とは無縁の一般人になっていたマッデンにとっては、世界中で読まれているアメリカの有力紙に実名が載ることの恐怖感は大きかった。家族への影響も考えたという。しかし――その恐怖を捨てさせたのも、家族だったのだ。
ワインスタインとのことを10代の娘たちに打ち明けたときに、マッデンの娘たちが言ったのは「自分たちの友人の身に最近同じようなことが起きた」だった。加害者は酔っぱらった少年たちだったという。
ミラマックスでわたしの身に起きた出来事について、証言をしなければならないと思っています。……わたしには三人の娘がいます。そして娘たちには、どのような環境であれ、こうしたひどい扱いを“普通のこと”だと受け止めてはならないと教えたいのです。
わたしは報道してもらえることを嬉しく思います。 ローラ・マッデン
これはマッデンが娘たちからの言葉を聞いたあと、タイムズの記者へ出したメールだ。こうして彼女は「公表」にGOを出した。
タイムズの報道は、互いに「個」だった女性たちを結びつけた。
第一報が出たあと、ジャッドとマッデンの勇気に触発されるように、多くの女性たちから2人の記者のもとへ続々と連絡が寄せられた。その中にはミラマックスのロンドン支社従業員時代に被害にあったが、かたくなに取材を拒んでいたロウィーナ・チウ(前稿参照)もいた。
2018年5月。第一報から5か月後。
ワインスタインが起訴され、裁判が進む中、タイムズの記者たちは、チウも含めてこの取材に協力してくれた女性たち12人を一堂に集めて「集団インタビュー」を行った。『その名を暴け』の終章「集まり」にはその様子が収録されている。なごやかな座談会のような雰囲気で、同じ傷を受けた者たちが初めて対面し、お互いにエンパワメントしあう場となった。チウはこの「集まり」を経て、数か月後にタイムズにワインスタインからの被害について寄稿。アジア人に強いられている「『波風を立たせない』というような不文律」を破ってカミングアウトした。
「今夜ここに来て、みなさんの考えを聞けて本当によかった。特に、なにがみなさんの背中を押して、どうやって進み出たのかを聞くことができて」
ロウィーナ・チウ
「わたしたちはいまも笑っている。足を一歩前に踏み出したからといってだれも死んでなんかいない。わたしたちは炎の中を歩いたけど、みんなその向こう側にたどり着いた」
ゼルダ・パーキンズ(元ミラマックス・ロンドン支社従業員。チウの先輩だった)
ほかの人に同じ思いをしてほしくない
Aさんが一昨年10月に初めて、出版ネッツに相談に来たときのことをよく覚えている。性被害について、涙をも交えて話してくれたAさんに「つらいのに、よく話してくれましたね」というようなことを言ったら、Aさんの答えは「私にしたことを…(加害者が)他の人にもするかもしれないから」だった。
誰も好き好んで裁判なんかしたくない。お金も時間もかかる。それでも立ち上がるのは、再スタートのためには、加害者からの謝罪と「もう二度とあんなことはしない」という言葉がほしいからだ。Aさんに起きたことは私たちの誰に起きても、おかしくはない。そしてAさんと同じく、「ほかの被害者が生まれてほしくない」という思いで、私たちもこの裁判にのぞんでいる。Aさんがつらいときは私たちは涙をわかちあいたいし、最終的には裁判の結果が笑顔をわかちあえるものだといいと願っている。
(木下友子)
Aさんの「応援団」にはならぬとも……
Praise the braveというプロジェクトをやっている性暴力被害者・セクハラ被害者の八幡真弓です。
Aさんが、大変な経験のなかで道を切り開こうと行動されていることをうかがっています。
Aさんが行動をされると決められた頃、私も「応援団に入らないか」と声をかけていただきました。
その瞬間の私の正直な気持ちは、二つ。
「それは大変な決断! 応援!」という肯定的な気持ちと、
「私にはそんな機会はなかったのに」という当惑でした。
私自身も、約10年前に性暴力被害・セクハラ被害を受け、全てを失う経験をしました。
それから何年も、味方もなく結果も得られない闘いを続け、心身ともにくたびれ無力感を深めました。
その間、どこかで声を上げる人たちの様子やそれを応援する人たちの様子を目撃すると、悔しく感じたり、当時のどうにもできない状況・状態の「私」を恨んだりしていました。
近年になり、加害追及とは違いますが被害当事者としての活動をするようになりました。
でも、私は(自分はここまで乗り越えられたからOK!)ではなく、悔しかった時の気持ちを大切にしていきたいと思っています。
なぜなら、今も現在進行形で当時の私のように感じている人がいるはずで、可能ならばその人たちの側にいさせてもらいたいと思っているからです。
そんな複雑な気持ちを抱えた私が、ただシンプルにAさんの「応援団」に参加するのは違うなと思いました。
なので、私は今も外野にいます。
でも、外野の私にも証言できることがあります。
今の日本で被害者として行動する時、強大な「勇気が必要」であり、また、得られそうな効果に対してとても見合わないほど甚大な「苦労を要する」ことを、私は痛いほど知っています。
この「勇気」と「苦労」に覚悟を決めて向き合い、Aさんは行動しているはずです。
それは、相当な信念がなければできることではありません。現在の日本の状況では、衝動や怒りだけで選択できるほど簡単でも便利でもない行動なのです。
また…これも自分の経験からですが。
どんなに信念強く前進していても、くたびれて投げ出したくなることが時折はあるはずです。
そんな時、前進する人が追い詰められてしまわないために、退路は絶対必要です。
Aさんが行くも戻るも自由に選択でき、退路の有無を心配せず安心して前を向いていられるように、私は後方にいます。
この闘いが「社会のために!」と背水の陣で挑む闘いではなく、ぜひ、Aさんの人生の栄養になるアクションでありますようにとお祈りしています。
(八幡真弓)
加害者と仕事を続ける場合がある ~『その名を暴け』にみる被害者心理(2)~
前稿で「被害者がNOをいうのは簡単じゃない」ということを書いたが、引き続き『その名を暴け』の証言者の多くに共通している点について書きたい。
それは「その後も、加害者と仕事を続ける人が多い」ということ。キャリアのために、生活のために…というのが主な理由だが、当然ながら心身の負荷は大きい。「性被害を受けた人は即、警察に駆け込み、加害者とは二度と遭わずに再スタートするはず」というのは幻想に近いもののようだ。
たとえば、前稿で例に出した加害者ハーヴェイ・ワインスタインが運営する映画製作会社ミラマックスのロンドン支社の従業員だった2人の女性(被害当時ともに20代)の場合…。
ローラ・マッデンは、その後、ミラマックスに6年間とどまった。
被害に遭ったことは女性の同僚に打ち明け、彼女経由でワインスタインから「二度としない」という「誓い」をしてもらった。ロンドン支社勤務だったので、アメリカ人のワインスタインとは距離があり、安全でいられたのも大きかった。過去については「妥協しながら」日々を過ごしたという。その後映画界を去り、結婚・離婚を経験し、シングルマザーになったあとも「人からとがめられることをしたという感覚を消せないでいた」「会社から逃げ出さなかったことを世間から責められるのが怖くて、声を上げること」ができなかったという。
ロウィーナ・チウは、先輩の女性社員(ゼルダ・パーキンズ。自身もワインスタインの被害者)が力強い味方になってくれた。2人は弁護士に刑事事件の手続きを求める。「物質的な証拠がない」として示談をすすめられるが、目的は無条件に示談金を得ることではなく、「会社に変革」を起こすことだと主張。示談書には「ワインスタインの行為をやめさせるための条件」として、「セラピーを受けさせること」といったことを盛り込んだが、相手方からは示談金支払いのために事件の口外を禁じられる守秘義務を結ばされるという報復に遭う。
これでは、映画界で新たな職場を求めて転職活動をしても「ミラマックスという一流企業をなぜ突然辞めたのか?」という面接での質問に答えられない。当然ながら再就職活動は頓挫した。
被害から9ヶ月後、チウが採った選択肢は、加害者の会社であるミラマックスに復帰することだった。示談の際、同社は彼女の再就職先に推薦状を出すことを約束しており、そのため彼女は顧問弁護士に他社への伝手の紹介を頼んだのだったが、その依頼に弁護士は「戻ってこないか?」と答えたのだ。チウは香港を拠点に仕事をすることになった。上述のマッデンと同じくアメリカのワインスタインと距離を置けたことが奏功したのか、新天地での仕事に夢中になった。
しかし、「ハリウッド映画にリメイクできるアジア映画を探すこと」という彼女に任された仕事にいくら真剣に取り組んでも、アメリカ本社からの反応は薄いものだった。しだいにチウは気づく。「この仕事が自分をワインスタイン傘下に留めておくために考えだされたまやかし」だったと。その後鬱病になり、すべてと「縁をきって」、故郷のロンドンに戻ったのは、自殺未遂を2度起こしたあとだった。
(木下友子)
被害者がNOをいうのは難しい ~『その名を暴け』にみる被害者心理(1)~
2017年ハリウッドの映画プロデューサー、ハーヴェイ・ワインスタインの20年以上にわたる女優たちへのセクハラが発覚。#MeToo 運動に発展した。
書籍『その名を暴け』(ジョディ・カンター/ミーガン・トゥーイー著)は「ニューヨーク タイムズ」の女性記者2人が第一報を報じるまでの軌跡と当事者女性たちのその後を追ったノンフィクション。
本書に登場する女性たちの被害実例について、このAさん裁判に関心がある人と分かち合うべく、数回に分けて文章を書きたい。
2人の記者がこの問題の調査を開始したのは、女優ローズ・マッゴーワン(※1)の「以前某プロデューサーにレイプされた」とツイッターへの投稿を目にしたことがきっかけだった。関係者への綿密な取材を通して明らかになったのは、大勢の女性が性的被害を受けながらも、「秘密保持契約」の下、それを口外することを阻まれていたことだった。
報道の盛り上がりに押されるように、ワインスタインは司法追及され、2020年3月、ニューヨーク最高裁判所にて、禁固23年の判決が下り、現在服役中である。
なだめたり、「達したふり」をして、逃れるしかない
本書を読んで、あらためて衝撃を受けるのは被害を受けた女性たちが、一様に「その場では明確に拒絶できなかった」と語っていることだ。
「……これが普通のことなのかもしれないと精神的に完全に追い込まれてしまった感じがした」
ローラ・マッデン
ワインスタインの泊まっていたホテルの部屋に呼ばれ、「マッサージをしてほしい」という要求に応え、それがエスカレートした結果、「シャワーを浴びよう」と誘われたマッデン(※2)。ワインスタインの指示どおり、服を脱ぎ、シャワーをともに浴びた。自慰行為をみせられたことで悲鳴を上げ続けると、ようやくワインスタインはシャワー室から出て行った。
「……わたしはすぐにはNOといえなかった。そんなふうに彼と対決したくなかった」
ロウィーナ・チウ
出張先のホテルで「脚本読み」という作業をワインスタインとしているとき、「マッサージをしてあげる」と誘いを受けたチウ(※3)。「仕事を続けたい」と断りながらも、「なだめるため」にタイツを脱いでマッサージさせざるを得なかった。4時間に及ぶやり取りの中で、ベッドまで運び込まれ、足を大きく広げられる被害に遭った。
「頭が真っ白になったの。ここから生き延びることだけを考えていた」
浴室にひきずりこまれ強引に裸にされたマッゴーワンの場合は、「そこから逃れるためにオーガズムに達したふり」までしたという。
日本では、性暴力が刑事裁判で有罪となるには、いまだに「加害者は暴行・脅迫したか」「被害者は抵抗したか」が重要となる。俗に「抵抗要件」などといわれるものだが、諸外国では、これが撤廃されつつある。「被害者はセクハラ行為中、心身がフリーズし、抵抗できないものなのだ」という被害者心理についての社会的合意が形成されつつあるのだ。喜ばしい。日本の場合は、暴行・脅迫や抗拒不能(身体的または心理的に抵抗できない状態)が認められないとして不起訴となった性犯罪事件は年間200件近くに及ぶ(2018年度の法務省データ)。
性被害は誰にも起こりうる。職業や年収、社会的地位の高低に差はあっても、その被害は等しく衝撃的で、「拒絶が難しい」ものなのだ。そして、それを口外するには大変な勇気が要る。高額なギャラを得ているハリウッドの女優や映画産業で働く女性たちでさえ、そうなのだ――ということを胸に刻みたい。
(木下友子)
※2「ミラマックス」ロンドン支社の従業員
※3「ミラマックス」ロンドン支社のアジア系従業員
ミラマックスは、当時、ワインスタインが経営していた映画製作会社
出版社:新潮社、翻訳:古屋美登里
「Aさんの裁判を支援する会」入会ご案内
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事件の概要についてはこちら
「支援する集会」リレートークより〜暴力やセクハラがない世の中を当たり前に
「支援する集会」リレートークより〜
2020年11月6日に開催された
「フリーライターAさんの裁判を支援する集会」では
支援する各団体から7名の方のリレートークが行われ、
この事件への憤りとともに、裁判を起こした
Aさんの勇気に共感する言葉が述べられました。
それぞれのトークの内容をご紹介します。
暴力やセクハラがない世の中を当たり前に
林 美子さん(メディアで働く女性ネットワーク)
2年前に財務省でセクハラ事件が起きたとき、テレビ局の女性記者が週刊誌に告発。
このことに背中を押されるようにメディアで働く女性が集い、「メディアで働く女性ネットワーク」を立ち上げました。
100人ほどのメンバーには組織ジャーナリストがいる一方、フリーランスもいます。
2020年2月に『マスコミ・セクハラ白書』(文藝春秋)という本を出しましたが、その中にもフリーランスがひどいハラスメントを受けたとか、書くという仕事をやめざるを得なかったという話が出てきます。
ハラスメントというのは、女性であるとかフリーランスであるとか駆け出しであるとか、いくつも脆弱性が重なるところで生まれます。
加害する側は権力の格差を利用してくるので、そこをなんとかしなくてはいけません。そうでないと、この仕事に希望を持ってやっていく人がいなくなってしまいます。
書くという仕事においては、人と1対1で会うことが多々あります。
そうするとその場でハラスメントが生じても、「証拠がないだろう」と言われてしまいます。
だからといって、2対1で会えばいいのかということでもありません。
なんで女だったら「ふたりで行け」って言われるのか。
そもそもそんなこと気にしなくてはいけない社会がおかしいわけです。
だから暴力やセクハラがない世の中を当たり前にして、仮にそういう問題が起こったら、必ずなんらかの罰を受けるとか業界で生きていけなくなるとか、そういう循環を作っていかなくてはいけないと思います。
Aさんが思い切って訴えてくださったのは、私たちが全体として進んでいくうえでの力になると、すごくうれしく思っています。
2019年6月に、国際労働機関(ILO)において190号条約(仕事の世界における暴力及びハラスメントの撤廃に関する条約)が採択されました。
この条約は非常に幅広い概念を有していて、対象にはフリーランスも就活生も含まれています。
だから日本の法制度における労働者の概念が狭すぎるままだと、批准することができません。
この条約の批准を求めることを含めて、さまざまな分野で闘っていくことが必要です。
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「支援する集会」リレートークより〜私に勇気を教えてくれた、Aさんへの手紙
2020年11月6日に開催された
「フリーライターAさんの裁判を支援する集会」では
支援する各団体から7名の方のリレートークが行われ、
この事件への憤りとともに、裁判を起こした
Aさんの勇気に共感する言葉が述べられました。
それぞれのトークの内容をご紹介します。
私に勇気を教えてくれた、Aさんへの手紙
森崎 めぐみさん(日本俳優連合国際事業部長)
今日はAさんにお手紙を書いてきました。読ませていただきます。
Aさんへ
私がAさんのことを初めて知ったのは、世話人会のSさんから伺ったときです。
それまで長い時間かかって、たくさん準備をされてきたのだろうに、いろいろと物事が決まってから教えてくださったのは、Sさんらしい、Aさんへの気遣いを感じました。
きっと、Aさんもいろいろ悩まれたと思いますが、それを見守って、Aさんが自信を持たれたことに、Sさんが自信を持ってから、私に話してくださったのだと思います。
みんながAさんを大切にしているのがよくわかります。
私は昨年、フリーランス芸能関係者のハラスメント実態調査アンケートを実施しました。
それまで芸能界でほとんど誰も声を上げられなかったことを、アンケートという形で、なるべく言いやすいように配慮して質問を作りました。
その結果1218人が回答。
ほとんどの方が自由記述に自身のつらい経験を書いてくださいました。
それなのに私たちは、フリーランスへのハラスメント防止法を強い拘束力のある形にできなかったことが、とても申し訳なく不甲斐なく思っています。
悔しい思いをしていたときに、SさんからAさんが提訴を決めたと伺いました。
Aさんが相談窓口に行ったのは、このアンケートが相談員に認識された頃だと聞いています。
「少しでも役に立ったんだ」と思って、とてもうれしかったです。
私からAさんに、どうしても伝えたいことがあります。
私は心からAさんを尊敬しています。
私はAさんほど勇気がありません。
ハラスメントを受けたとき、私は何も言えなくなります。
悔しくてもつらくても、ただ我慢するだけでした。
人に相談することさえできませんでした。
私は国際俳優連合(FIA)の会議に参加していますが、「仕事の環境を整えるために一番先にやるべきこととして、ハラスメント対策を」と教わっています。
最初にそれを聞いたとき、私はカナダ人の会長と、アメリカで#MeToo運動をしている俳優組合の会長に、「日本でハラスメント対策を始めます」と宣言しました。
そのときおふたりは目を真っ赤にしてCourage(勇気)が大切だと教えてくださいました。
その勇気を私はAさんから教わりました。
ありがとうAさん。
いつか近いうちに、あのとき頑張ったね、頑張ってよかったと、笑って思い出話ができる日を楽しみにしています。
一緒に頑張りましょう。
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「支援する集会」リレートークより〜フリーランスの弱みに付け込んだ、振る舞いを許さず
2020年11月6日に開催された
「フリーライターAさんの裁判を支援する集会」では
支援する各団体から7名の方のリレートークが行われ、
この事件への憤りとともに、裁判を起こした
Aさんの勇気に共感する言葉が述べられました。
それぞれのトークの内容をご紹介します。
フリーランスの弱みに付け込んだ、振る舞いを許さず
渡辺 佳一さん(出版労連組織・争議対策部)
組織・争議対策部は、この争議団を担当する出版労連の専門部です。
今回の裁判でも、みなさんと手を携えて全力で支援をしていきたいと思っています。
ただし今日は部の代表としてではなく、企業に雇用されている立場の者、
出版社の労働組合の一員としてメッセージを送ろうと思います。
私は大学を卒業してからすぐに出版社に就職し、途中で会社を移ったものの、
ずっと企業に雇用される立場で働いてきました。
出版社は昔からずっと、フリーランスの力なくしては仕事ができませんでした。
私も会社員の編集者として、多くのフリーランスと仕事をしてきました。
雇われて働いている私としては、自分の能力を信じ、
それで生活を立てているフリーランスをすごいと思ってきました。
営業やマネジメントも、大抵の人は自分でやっています。
これはもう、会社員でしか働いたことのない私としては、
想像もできない世界だと感じています。
ただしフリーで仕事をしているということは、
会社に雇用されている人と比べて仕事の量や収入等に波が生じがちです。
ですから少しでも多くの、継続的な仕事があるといいなと思うのは当然のことです。
今回の事件は、そのように一生懸命働いている人の弱みに付け込んだ、
言語道断の振る舞いだと思っています。
そういう振る舞いに対する闘いです。
精一杯、今後の支援を続けていきたいと考えています。
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